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■ 一体どの工法が良いの?
住宅雑誌でよく特集を組んで紹介される内容に、工法はどれが良いのか?というのがあります。また住宅メーカー等の営業マンがこぞって自社の工法の長所や自社の工法以外の短所を並べ立てて営業しています。そのため一般の人にとってどの工法が良いのかわけがわからなくなってしまいます。

そこで、技術的にプロの立場から言わせてもらいます。 「どの工法でも良い」のです。とても乱暴に聞こえるかもしれませんが、事実です。少し説明させてもらいます。確かに工法によって特徴があり、それぞれ長所も短所もあります。しかしそれが家を建てるのに絶対的に良いか悪いかと言うことはありません。その工法の特徴を活かした建て方をしたり、欠点を補う方法できっちり建てればまず問題はおきないと言えます。

ですから、よく言われる「木造在来工法の家は地震に弱い」とか「鉄は熱に弱い」と言ったセールストークには騙されないで下さい。木造在来工法でも構造的にしっかりと設計を行い、その通りに施工をすれば地震に強い家ができますし、鉄骨もちゃんと周りを熱を伝えにくいもので覆えば簡単に強度が落ちることはありません。こういったことからも、その工法を専門にしている勉強熱心な業者はその工法の長所・短所をふまえた上で長所を活かし、短所を補う方法を取り入れています。大事なのはその工法に精通し、経験も大事ですが、勉強を欠かさない業者を選ぶということです。

では、そういった業者かどうかを見極めるにはどうしたら良いでしょうか?わからないという方は次の質問をしてみましょう。「その工法の長所と短所は何ですか?」また「その短所を補う為にどのような方法で対処してますか?」この質問にいきなりきちんと答えるのは難しいかもしれませんので、「こんな欠点があるって大丈夫でしょうか?」と聞いてみる方が良いかもしれません。それにきちんと答えて納得できれば大丈夫と言えます。最終的に特に気に入った工法がない場合は、工法から探すよりも気に入った家を建てる業者に質問をしてそれに納得できればお願いするといった方法が良いのではないでしょうか?
■ 木造軸組工法(在来工法)
日本の変化の激しい気候風土にもまれ、その耐久性を証明してきたのが「木造軸組工法」です。伝統的な工法のため在来工法とも呼ばれます。「木造軸組工法」は、柱、梁はり、桁けた、構造用合板などで家の骨組みをつくり、屋根や壁、床などの各部に角材や板が縦横に通って、家の構造をつくり上げる工法です。

短所として  ①地震に弱い
        ②大きな空間を作りにくい
        ③火事に弱い
        ④断熱・気密性が低い     などが一般によく言われます。

まず①については、阪神大震災後、2x4やプレファブのメーカーで「在来工法が多く壊れた」と営業マンがセールストークとして使っていました。ですがこれは古い建物は在来工法で建てられた家しかなかったので、当然といえます。そして比較的新しい家でも壊れていたのは筋違いが入っていなかったり、入っていてもバランスよく配置されていなかったためです。現在の基準でバランスよく筋違いを入れた壁を配置していればほとんどの家は壊れていなかったと専門家の研究でわかっています。

②については確かに木の特性を考えると4mx4m以上の部屋は好ましくないです。しかし柱を1本空間の中にたてることによって大黒柱としての役割やデザイン的にも美しく見せることは可能ではないしょうか?

③は細い(又は薄い)木材の場合、燃えやすいという理由だと思われます。しかし3cm以上の厚みがある木材の場合、表面が炭化して奥の方まで燃えません。ですから火事の現場などで骨組の柱や梁だけ黒くなって残っているのを見たことがあるのではないでしょうか?その為しっかりとした太さの木材を柱や梁の構造材に使っていれば簡単に崩れることはありません。

④について昔の家は隙間風が吹くことも多かったのでこのように言う方もいます。しかしこれも昔の木製サッシで隙間だらけの家や断熱材の入っていない家では当然のことです。今の省エネ基準を満たすような家は在来工法でも当然可能で、そのような家では隙間風が吹くようなことはありえません。

次に長所として ①敷地に応じて設計の自由度が高い
           ②増改築が容易
           ③結露しにくい
           ④年が経つほどに味がでる         などです。

① についてですが、他の工法でも敷地に合わせて設計はできますが、特に企画住宅の場合は特殊な形にすると割高なことが多いです。(プレファブメーカー等)その点、在来工法の場合価格アップも比較的少なくすみます。

② は他の工法と比べて壁を取り除きやすく、また構造の補強もしやすい為です。とは言っても柱の位置によって制約を受けることはありますし、場合によっては構造計算も必要なことがあります。これも他の工法に比べて割安で増改築ができるというべきでしょう。

③ 木の特徴の一つに湿度を調整する性質(調湿)があります。このため木の表面では結露はほとんどおきません。また木の使用量にもよりますが、室内の壁も結露をおこしにくいです。(よく鉄筋コンクリートのマンションで室内の壁にカビが発生するのは壁に結露が起こっている為です。)

④ これは木の特徴ですが、年が経るにつれて色や質感が変わり、なんとも言えない味がでてきます。昔の家では柱に子供たちの身長を刻んで行って成長を喜ぶことができたと言われる方もおられます。
■ 2×4工法
日本で2×4工法が導入されたのは1974年のこと。木造軸組工法が柱や梁などの「軸」で家を構成するのに対して、この工法はパネル化された床や壁などの“面”で家を構成する箱形構造のため、正式には「枠組壁工法」といいます。19世紀の北米で、2インチX4インチの木材が多く使われていたため2x4(ツーバイフォー)と呼ばれるようになりました。

短所として ①増改築がしにくい
       ②2階の音が下に伝わりやすい
       ③屋根を葺くまでに床などの合板が濡れやすい

まず①については壁を取り払ったり、壁の位置を変えるなどの大規模なリフォームの場合に言われます。これは、ある長さを超える壁は全て家を支えるものとして計算しているため、ある程度制約があるのは事実です。しかし、その長さを計算したり他に補強することで可能な場合もありますので、詳しい業者に相談すれば大丈夫なことも多いです。

②については2×4工法の場合、2階の床を支える梁に直接天井のボードを貼ることが多いため、太鼓のような状態になり音がよく響くと言われています。この対策としてはまず1階の天井を2階の梁に直接留めずに釣り天井とするのが一つです。また2階の床に遮音材などで音が響きにくくするなどもあります。

③については耐水合板を使用していれば特に問題はありません。それでも気になる場合は、工場で壁を造っておいて、パネルにして現場に搬入して組み立てれば、工期を短縮できるのでほとんど雨に濡れなくてすみます。又は床をビニールシートなどで養生しながら施工をしていけば、ほとんど濡れずにすみます。要は、欠点を補う為の方法を考えているかどうかだけの問題であることがわかっていただけると思います。

長所として
①構造部材が規格化され、施工のばらつきが少ないのと職人の技能に左右されにくい
②耐震性に優れている
③気密・断熱性能を高めやすい
④輸入住宅特有のデザイン性

まず①についてです。2×4工法の場合、使う木材の大きさが規格で決まっていて、その種類も数が少ないため、より精度の高い施工が可能です。また枠材に合板を金物や釘で留めつけていくので、基本的には熟練した技術を必要とせず、均一に仕上がりやすいことが挙げられます。

②については阪神大震災のときに特によく言われていました。2×4は『面』で構造体をつくっていき、6面体で家を支えています。その為、揺れや風といった外からの力に対して面全体で受け止めることができ、より強度の高い構造となっています。

③2×4工法は面で構成されているため、隙間がほとんどありません。その為、しっかりと外側の壁で気密・断熱を行えば、高気密・高断熱の家は造りやすいと言えます。しかし、正しい施工方法で断熱工事を行わなければ、2×4工法が日本に来た当初、問題になった壁の中で結露をおこすという問題がでます。そして、高断熱・高気密の家には欠かせない換気計画もしっかりと行う必要があります。

④私が2×4工法を手がけるきっかけとなった理由は実はこれです。正直なところ、在来工法でもデザインだけなら真似ることは可能です。しかし輸入資材を使う場合、部材の寸法上の問題で在来工法の場合だとどうしても余分な部材がいって、その分割高になります。また輸入住宅というからにはできる限り輸入部材を使い、本格的なものにしたかったということがあります。
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