COLUMN

空調設計実践塾と蓄熱型薪ストーブ

2年以上前に『ミライの住宅』という会が主催する住宅空調設計講座を受講しました。
その講座で学んだ内容をさらに深めるため、昨年末から実践的で先進的な取り組みをされている工務店や設計事務所の実例を訪問する空調設計実践塾に参加しています。

凰建設さんのモデルハウスで体感した理想の暖房

1月には、全体の講師でもある森社長が経営されている凰建設さんのモデルハウスを体感見学する機会がありました。
モデルハウスは10年以上前に建築されたパッシブハウス認定を受けた超高性能な住宅です。

凰建設さん

そこで森社長が空調について詳しく解説してくださいました。

一般的にこのような高性能住宅では、普通の薪ストーブを使うと間違いなくオーバーヒートして暑くなりすぎてしまいます。
そうならない為に大事なのが薪ストーブ選びで、凰建設さんが探して選ばれたのが「蓄熱型薪ストーブ」でした。

蓄熱型薪ストーブの魅力

蓄熱型薪ストーブの最大の特徴は、じっくりと熱を放出し、その時間が非常に長いことです。
高性能な住宅との相性が良く、適切に空気流出入を行うと完全燃焼してほとんど煙や臭いも出ません。
講義では、その原理や考え方を具体的な数値で計算しながら教えていただきました。

実際に体感して感じた蓄熱型薪ストーブの利点をまとめると以下の通りです。

  • 住宅地でも周囲に気を遣わずに済む
  • 木材は針葉樹でも問題なく、煙突が汚れることも少ない
  • 遠赤外線による穏やかな温かさが非常に気持ち良い
  • 気流や風を感じないため、エアコンのような乾燥感も生まれにくい
  • 音はほとんどせず、薪のはぜる小さな音はむしろ癒しを感じる
  • ガラス面以外は触れても火傷をしない程度の温度で安全
  • 現在考えられる暖房方法の中で、快適さは最高レベルだと感じました。

現在考えられる暖房方法の中で、快適さは最高レベルだと感じました。
ただし、問題はコストで300万円前後は必要で、なかなかのハードルではあります。

蓄熱型薪ストーブ

もし私がもう一度家を建てられるなら(まず無理ですが…)、この暖房方法は間違いなく候補になります。
いずれにしても、今までオーバーヒートの問題から敬遠していた薪ストーブが理想の暖房方法の一つであることがわかったのは大きな収穫でした。
もしご希望の方があれば、ぜひご提案したいと思います。

常識を覆す着火方法

今回の体感見学で最も驚いたのが、着火は薪の一番上で行うことでした。
キャンプファイヤーやバーベキューの時の経験から、下から火を点けて上に向かって火を大きくしていくのが当たり前だと思っていました。
しかし、薪ストーブの着火方法としてトップダウン方式が環境にやさしい着火法で主流とのことでした。
トップダウン着火は、上で点けた火が下の薪にどんどん燃え移っていくのですが、この光景を実際に見られたのはとても新鮮で、自分の常識を打ち破る体験となりました。

性能向上リノベーションのモデルハウス

さらにお隣にある木造平屋建てをリノベーションしたモデルハウスも一緒に見学させていただきました。

リノベーションモデルハウス

こちらは構造や断熱改修を行う性能向上リノベーションで、築30年以上の建物を上部構造の耐震等級3と断熱等級7という新築に引けを取らない性能まで改修されています。
暖房は床下エアコンを採用し、1台で全館暖房を行う計画でした。

床下エアコン暖房

床下エアコンの特徴

床下エアコンの魅力は以下の通りです。

  • 気流や風を直接感じないのが最大の特徴
  • 床面が少し暖かいため、快適な体感を得られる
  • 一般的な壁掛けエアコンを使うため、コストを抑えられる
  • 断熱性能をしっかり上げることで電気代も抑えられる
  • エアコンの音がするため、設置場所によっては気になることもある

これは弊社でも現在、最も採用することが多い暖房方法です。
住宅空調設計講座で学んでから、さらにコストを抑える方法で設計しています。

今回も凰建設の森社長にいろいろと教えて頂き、より精度の高い空調計画を体感することができました。
自社で取り組むだけでなく、このような講座で他の工務店や設計事務所に教えて下さる姿勢が何より素晴らしいといつも感心しています。

奥の深い空調設計

現在は、温度差による空気の流れや換気方法を交えたパッシブ換気についても技術研究会に入って勉強を続けています。
もしご希望の方があれば、提案させて頂きますので、ご相談ください。

2年前に北海道へ断熱研修で伺った際、快適な暖房を体感して気づいたことがあります。
それは、気流や風がないこと、そして音がしないことが、どれほど静かで心地よい空間を生み出すかということでした。
そんな理想の暖房方法を目指して、さらに磨きをかけていきます。